プロローグ
「いきなりだけど、私、転校するから」
「…はい?」
片割れが本から顔を上げて言う。
しかも間抜けな顔をして。
「どういうことですか?」
「どうもこうも、言った通りなんだけど。
私、転校するから。来週」
そう言うと片割れは溜め息を吐いて呆れだした。
「何を考えているんです?周りが嫌になったとか…」
「別に。アンタ達と一緒にいるのは好きだよ。
でも、駄目なんだよ。それでも」
私にあの場所は眩しすぎる。
バスケは好き。皆も好き。けど状況がそれを許しはしなかった。
「もう転校手続きは住んでるし、退部届も提出した。来週、私は帝光にいない。寮に入って生活する気だから、家にもいないよ」
「転校先は何処です?」
「同じ東京都内だけど、いいかなっていう女のカンで選んだの。
――場所は、青春学園」
面倒臭がりな私は、あの場所も面倒になってきて、いるのがつまらなくなった。
だから、私は捨てるの。全部。
居場所を捨てた日
mae ato×