恥じらいガール | ナノ




ぱちり。プリントを後ろの席へ回していると彼女と目が合った。猫背で机に肘を突いていた彼女は俺と目が合うと背筋を伸ばして目を丸くした。そんな彼女に笑いかけて、頬を少しだけ染める彼女を横目に体を前へ向き直した。





お昼に晴矢と風介と食堂に行けばたくさん人がいた。その中に友達と楽しそうに食事をとる彼女がいた。ぱちり。オムライスを口に運ぼうとしている彼女とまた目が合った。彼女は焦ったみたいで彼女の肘がコップに当たって水がこぼれたので「あ、」と小さく漏らすと晴矢と風介が不思議そうに俺を見てきたから何でもないと答えておいた。




「う、あ」


ばたん。放課後の廊下の曲がり角で彼女とぶつかって彼女が尻餅をついた。すると彼女が持っていた大量のプリントがひらりひらりと宙を舞った。慌てて謝って彼女に手を差し出すと彼女はびくりと肩を揺らし丸くした目で俺を見上げた。いつまでも手を取ってはくれなさそうだから俺から手を掴んで立ち上がらせて彼女の周りに散らばったプリントを集めて彼女に手渡すとまたびくりと肩を揺らしてプリントを受け取った。


「ごめんね、大丈夫?怪我とかしてない?」
「だ、大丈夫です、すいません、ありがとうございます」


彼女がお礼を言った後の長い沈黙。窓から差し込む夕日が彼女の頬に睫を落とす。


「じゃあ、俺はそろそろ部活に行くから」
「あっ、はい、ありがとうございました」
「それじゃあ、また明日」


手を振れば小さく頷く彼女を通り過ぎた。少しだけ歩いたところで声がして振り返ると彼女はプリントを胸に抱きしめながら俺を見ていた。


「基山くん、あのっ、」
「なんだい?」
「その…、部活、がんばってください…!」


真っ赤な顔で笑う彼女を可愛いと思った。


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