※少々痛々しい話 「やめなよ、それ、」 そう言いながらミストレは唇へと伸びる私の手を指差した。その言葉に対して「あー、うん」と返事をするものの私の手は唇から離れることはなかった。そんな私にミストレは溜息を吐いて私の手を掴み、もう片方の手で私の顎を持ち少しだけ上へ向け指で唇に触れた。 「…痛そう」 「痛いよ」 私の周りには透明な薄い千切られたぴらぴらした物が落ちていた。 いつから、というのは はっきり覚えていない。気がついたら、唇の皮を剥いていた。それが癖になってしまって止めようと思っていても止めれなかった。皮の剥きすぎで血が出る事も多々あったがやっぱり止めることは出来なかった。別に何かストレスがあって剥くわけではない。ただの、癖なのだ。それを自分でも分かっているからこそどうしようもなかった。無意識の内に手は唇へと運ばれ剥く、それの繰り返しだった。 「自分で自分を傷つけるなんて俺には到底理解出来ないな。まあ理解する気も無いけどね」 そう言ってミストレは少しだけ口角をあげぐっと顔を近づけた。 「い、」 言わせてもらうけど、私だってミストレなんかに理解してもらおうとは思ってない。その言葉を言う前にミストレは私に口付けた。 剥けたところがやけに痛かった。 |