はじめての宝物だよ | ナノ




25日はクリスマスって言ってね、朝起きたら、サンタさんからのプレゼントが枕元に置いてあるのよ。


誰でも知っているような事を彼女がにこにこと話してきたのは、12月に入ってすぐのことだったか。そんなこと知ってるよと言うついでに、サンタなんて居ないことを教えると彼女は少し眉を歪めた。「もう、マサキは夢が無いなあ」そりゃあすいませんね。むっとしていたのにすぐに口角をあげた彼女は、マサキは欲しいものある?と首を傾げる。少し考えて、俺より小さい子供がコタツを占領していたのを思い出したので「コタツ」と短く答えれば、買えるわけないじゃない!と声が響いた。


- - - - -


明日がついにクリスマスとなってケーキ屋に入っていく人が増えたように見えるし、みんな何処と無く忙しない。まあ年末と言うのもあるかもしれないけど。
俺はというと明日はサッカー部で集まってクリスマスパーティーとのこと。何が悲しくてむさ苦しい男どもとパーティーをしなければならないんだと思ったが、おひさま園の子供の子守りをするよりはマシだろう。
不意に彼女を思い出して、プレゼントでも買ってあげようかと思い、洒落た雑貨店に入れば思っていた通り女の人ばかりだった。部活帰りのためジャージ姿のままだったので変に目立ってしまう。店の中を少し周りながらちらちらと客の手元を見てみたが大体、彼女が欲しいものなんて知ってるわけがない。
彼女が欲しいものが分からないことに気付くと、何だか悩んでも無駄に感じてしまいすぐに居心地の悪い店を出てあとは真っ直ぐ帰った。


- - - - -


サンタを信じていたわけじゃないけど俺だってまだ子供なわけだし、もしかしたらプレゼントが置いてあるかも、なんて多少は期待してみたりする。あるわけが無いと思いながらも期待しながらゆっくりと瞼をあげる。「あっ」なんで居るんだよ。顔をしかめると彼女は苦笑いを漏らした。


「もう、あとすこし眠っててよね」
「人が眠ってるときに何してんの」
「サンタさんみたいな事、しようと思ったのに」


「はい、プレゼント」と彼女は包装されたプレゼント、というものを渡してくる。受け取ると「あけていいよ」と許可らしきものを得たので開けてみればマフラーだった。マサキが欲しいもの分かんないからマフラーにしたんだよ。そう言って頼りない笑みを浮かべた彼女にお礼を言うと、目を丸くさせた後に歯を見せながらはにかんだ。今日の部活のパーティーは彼女へのクリスマスプレゼントを買った後でもいいかもしれないと思いながら小さく笑った。



title/自慰



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -