真夜中に融解 | ナノ




前回のテストで余裕でしょーなんて思って勉強せずにいたら物凄い点数を取って涙目になったので今回のテストはその失敗を生かして頑張ろうと思ってテストの一週間前から徹夜の私である。まあ平日に徹夜なんかしたら眠くて授業どころじゃないと分かっているので休日にやるのだけど。

しかし人間には集中力というものがあってつい先ほどその集中力がぷつりと切れて体が甘いものを欲していた。だから財布を持って糖分の為に家から出て今に至る。
家を出て真っ直ぐ歩けば約2分ほどで着くコンビニのあかりは道を歩いていても見える。昼間はびゅんびゅん車が通っているのに今は一台も通って無くて、わたし以外の人も見当たらなくてこの地球にはもしかしたら私しかいないのではないかと思ってしまうがコンビニから漏れる光が現実に引き戻す。
コンビニに入って壁にかけられた時計を見れば2時を少し過ぎていた。学校の先生が夜出歩いて補導されないようにと言っていたことをぼんやりと思い出す。2時過ぎか、ばりばり補導時間である。けれど補導なんてされないだろうと思い私は糖分のもとへ足を進める。

「テメー今何時だと思ってんだ」
「……」

レジの方からなんか聞こえたけれど聞こえなかったことにしよう。驚いてつい止めてしまった足を再び動かせばちっと短い舌打ちが聞こえて肩が小さく震えて恐る恐るレジへ顔を向ければ眉間に皺を寄せた店員さんが私を睨んでいた。はっきり言ってこわい。ニート臭がぷんぷんするのに何で働いているんだ。おかしいよ。「おいお前、ちょっとこい」と言われてレジに向かう私もおかしいよ。

「何時だと思ってんだ」
「…2時過ぎです」
「補導時間だよな?」
「……はい」
「何でコンビニなんか来てんだよ」

てす、と前に勉強してたら、甘いもの欲しくなって。眼力に怯えながら小さく答えればニート臭のする店員さんは少しだけ目を開いてへえ、偉いじゃねーのなんて言って笑った。ちょっと待ってろ。そう言ってレジから離れた店員さんに何をされるのかと怯えながらも構えているとすぐに何かを片手に戻ってきた。

「これは俺の奢りだ。んで補導される前に家帰れよ」

そう言ってどや顔で押し付けられたものには眠眠打破と書かれていた。いやいや私は糖分が欲しいんですけどね、なんて言えるわけもなく私は眠眠打破を片手に涙目でコンビニを後にする。まずいと小さく呟いた声は空気に溶けていった。




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -