私には自慢できる友達がいる。一番の仲良しの財前塔子ちゃんだ。塔子ちゃんはなんとこの国を背負って立つ財前総理大臣の娘で、さらに宇宙人と戦ったことのある強い女の子だ。男の子とすぐに仲良くなれて、わたしのような一般人にも分け隔てなく接してくれる優しい女の子だ。そんな彼女に憧れの感情も持つ私の前に、塔子ちゃんはものすごく顔色を悪くして現れた。

「と、塔子ちゃん!?どうしたのそんな具合悪そうにして!」
「何か…変なんだ」

息遣いも非常に苦しく辛そうである。「何が変なの!?」なんだか白い。肌が陶器色に染まっている。塔子ちゃんのこんな姿初めてで、何をしていいか分からない私はおろおろするしか出来ない。せめて怪我なのか病気なのか教えてくれたら対処の仕方もあるってものだが、塔子ちゃんは呻き声をあげるだけでしゃがんでうずくまってしまった。「痛い…助けてくれ…」痛いだって!?何も悪いことなどしない、いい子の塔子ちゃんを痛めつけるものは一体何なのだ。どこが痛いのか訊いてみる。すると塔子ちゃんは顔を床に埋めたまま、か細い小さな声で「おなか」と言った。






「塔子ちゃんおめでとう!」

塔子ちゃんは心底いやな表情をしていて、私のその言葉を聞くと口を尖らせてむすりとこちらを睨んだ。塔子ちゃんの痛みの正体は生理だった。ついに塔子ちゃんにも訪れたのだ。私はすでに一年前から経験しているから、痛みは今更なんのそのだ。ただ初めはきついだろう。事実、まだ痛むようであーとかうーとか呻いている。この痛みは怪我をするのとは全く違うから、塔子ちゃんにとって今までにない未知の世界であるのだ。

「女の子か…男になりたかったなー」
「何言ってるの。これから大人の女性になっていくんだよ?」
「大人の女がサッカーやってたら変な目で見られるじゃんか」

塔子ちゃんらしい。サッカーが命!とばかりに男の子と一緒に毎日サッカーをやっている塔子ちゃんは、大人になることが憂鬱に感じられるみたいで、あーあと溜め息を吐いている。私からしてみれば、塔子ちゃんは笑顔がとてもかわいいから、きっと大人になったら美人になって男の人にたくさんもてるだろう。うらやましい限りだ。

「私は塔子ちゃんに大人になってほしいな」
「何だよそれー、あたしにサッカーするなって言いたいのか?」
「違うよ、私は大人になっても塔子ちゃんの友達でいたいから、塔子ちゃんがサッカーやってる傍で応援していたいなって」

目をしぱたかせて私を凝視する塔子ちゃんに穏やかに微笑んだ。塔子ちゃんは次第に嬉しそうな表情に変わっていって、あの得意気な笑顔でにっと白い歯を見せて言う。

「じゃあ、大人になってもずっと親友だな!」

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