小さい彼を見つけた時は、それはもう可愛くて仕方なかった。ただ、目が少し反抗的で、手を伸ばした時舌打ちされたのを覚えている。それをされたからといって別にわたしは落ち込む人間ではないし、子供に怒る大人気ないこともしない。何故なら、麻のマントで身を包む彼にとってその行為が、自分を守る唯一の行動だと分かっているからだ。
彼はついてきた。手繋ぎを求めても、黙って睨まれた。人間不信に陥っているのか、時折道行く人に喧嘩を売る仕草をする。その時肩を掴んで自分に寄せると、ぱしんと手を叩かれた。そしてずんずんと前を歩く。彼が前を歩いたところで目的地が分からないのだから、なんともおかしいことだ。また睨まれて、わたしは笑ってみせた。目を開けると彼は前を向いている。そんなわたしたちは、あと五年後に酸素ボンベの着用が義務づけられる。

五年後、世界は変わるのだ。わたしたちを乗せるこの地球は、勝手に生まれた人間の手で破壊の一途を辿ることになる。

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