「……」
「…ねえ」
「何だ」
「もうそろそろ諦めてくれるかい?」
「何をだ」
「分かるよね」
「……」
「あの子は強い男が好きなんだってさ。何にも負けない、何があっても諦めない強い心を持った奴がね。妹を人質に取られてすごすごとチームを離れるような軟弱な奴に、あの子を守る資格なんか無いんだよ」
「…よくしゃべるな」
「怒ってるの?ははっ、君でも怒ることあるんだ」
「お前」
「何?」
「あいつが、よくしゃべる男は好きじゃないってこと知ってるか」
「え?」
「その様子だと知らないみたいだな。見た目がもやしじゃない奴、気の弱そうに見える奴、そして友達に発言権を譲るような柔な奴なんかも嫌いだと言ってたぞ。知らないだろ」
「知、らない…けど!オレは」
「もやしじゃないのか?真っ白な髪なのに?外見でなめられたことないのか?にこにこ笑顔貼り付けてるのに?友達に自分の言いたいことを譲る柔な奴じゃないのか?バーンとかいうお前のチームのキャプテンが、お前の代わりに言いたいことを全部言ってたのを見たオレがいるのに?そんなオレを騙せるのか?」
「う、」
「自分のことを省みずに、他人に敵対心剥き出しで潰しにかかるのは、馬鹿のやることだ」
「な…!!」
「これで分かっただろう。どっちがあいつに相応しいのか」
「……」
「ついでに言っておく。オレは既にあいつの彼氏だ」
「!?なん」
「じゃあな。…ん?吹雪からメールだ。………っな、」
「…どうしたんだ?」
「あ、あいつ…!」
「?メール見せろ。……!!そんなまさかっ」
「く、そっ…!!」




「寝取られた!!」





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