「おっ！もつ鍋食べに来たのか？」 「誰が！オレは話があって来たんだよ！」 「いいタイミングで来たな。今夜もつ鍋にするところだったんだ」 「人の話聞けよ！」 「彼女はオレのだからな」 「う、ちゃんと聞いてんじゃねえか」 「話終わり。野菜の買い出し行くぞ」 「いや終わってねえよ！お前ので納得するかこのオレが！」 「…そうか。なら仕方ない」 （お、きたきた。サッカーでケリをつけるつもりか？） 「よく聞け」 「？」 「今夜の夕食…つまりもつ鍋に彼女を呼んでいる」 「なんだと!?」 「そこで決着をつけようじゃないか。どちらがより多く…」 「もつを食えるかってんだろ？オレに決ま」 「野菜を食えるかだ！」 「なっ…何い!?」 「オレのもつ鍋は、もつが三、野菜が七の割合で構成されている。もつに比べ圧倒的に野菜が多いのには、野菜は必要な栄養分がしっかり摂れる上に、もつと一緒に食べた際、もつが脂っこいなどのマイナスのイメージを植え付けないという理由があるからだ。もつには限りがある。が、野菜ならば多めに買ってきても余ったら次の日どうにでも調理出来るし」 「ま、待てよ！もつだって、余ったらフライパンで野菜と一緒に…」 「フライパン!?」 「わっ!?」 「お前…もつをフライパンで調理すると言うのか!?」 「何か悪いこと言ったかオレ!?」 「言った!!もつは鍋でいただくからこそ本当の美味しさが出る！もつの脂が汁全体に行き届いて、何とも言えない香りが漂い、安らぎと空腹感を生み出すのは鍋で食べた時だけなんだ！フライパンなど邪道だ！鍋だ鍋!!フライパンだとか馬鹿なことを言ったお前に、オレがこれからもつと鍋の絶妙さについて語っ」 「すいません帰らせていただきます」 |