「おかしいな、待ち合わせ場所はここって言われたんだけど…」 「はーっはっはっはっ!」 「!」 「その白マフラーに太眉垂れ目…吹雪士郎とお見受けする!」 「誰?」 「拙者の名は霧隠才次!貴殿をここに呼び出した張本人だ!」 「え?君が?手紙には僕の彼女の名前が…」 「そうだ!その手紙は拙者が偽装したのだ!…ハッ!」 「わぁーすごい、あんな高いところから飛べるなんて」 「拙者は忍者だからな!」 「忍者?この時代に?」 「そうだ!どの時代にも忍者というものは存在する!」 「さっきからびっくりマークつくような話し方がうるさいな」 「なっ…う、うるさいとは何だ!」 「耳に響くんだよ、声変わりもしていないし」 「拙者の声がよく聞こえていいではないか!」 「彼女だったらいいんだけど、暑苦しい男はなぁ」 「暑っ…!?」 「で、僕を呼び出したのにはそれなりの理由があるんだよね?」 「ハッ!そ、そうであった!……では単刀直入に言う!」 「ねぇ落ち着いて話せないの?」 「貴殿の彼女をオレによこせ!」 「無理」 「フッ、そういうと思ったぞ」 「?」 「貴殿の彼女の写真と交換だ」 「写真?」 「見よ!このベストショットの数々を!」 「わ、いっぱいある」 「全部で五十は下らぬ!下校時やプライベート、授業中の居眠り姿や体操着姿まであるぞ!」 「よく撮ったね、こんなに」 「毎日張り込んで三ヶ月!よいところだけを厳選して持ってきたのだ!」 「……これは」 「ん?あぁこれは超ベストショットだ!偶然にも自宅での着替えシーンをしっかりとらえた…」 ドゴオッ!! 「……え?ボ、ボール?」 「君だったんだ、彼女の後をつけたり学校生活見張ってたりしたストーカーは」 「な、せ、拙者は」 「気づいてないとでも思った?彼女は勘がよくてね、最近誰かにつけられてる気がするって、僕に相談しにきてたんだよ」 「!ば、ばれて」 「さっき、“厳選した写真を持ってきた”って言ってたよね?ってことは君はこの他にまだ写真を持ってるってことだ」 「あ、いや、」 「今さら言い逃れする気?僕に無断で彼女の写真を撮ったということは、…分かってるよね?」 「ひ、ひぃ!」 「あ、逃げるの?わぁ、さすが忍者だね。速い速い。……でも」 「!?」 「僕より遅いな」 「っ、な、何…!?追いつか」 「許さないからね」 「ひっ…」 「ウルフレジェンドォォ!!」 「うわぁぁぁぁ!!」 |