照美くんの好きな柄、って何だろう…。やっぱり天使のブラとかいいかもしれない。いやそれだとギャグになっちゃうよな、「ふざけてるの?」とか言われちゃったら私イエスと答えるしかないじゃないか!…話がずれた。うーん、薄い黄色とかいいかな?ちょっとふんわりした感じが照美くん好きかも。でもなぁ…薄い色って私好きじゃないんだよね。もっとはっきりした原色系の方が…。

「僕はショッキングピンクがいいな」
「そうかなー照美くんってそういう色好きだと思う?……って、え?」
「うん、僕その色大好きだよ」

私の横で下着を眺めるのは、今頭の中にいた人。そう、照美くんだったのだ。

「てっ、てててて照美くん!?」
「君がなんだかいつもと様子が違うから、心配になってついて来ちゃった」

うぇぇ恥ずかしい!!ただの見栄っ張りなんかでここにいるのがバレちゃった!!どうしようもうこの場(勝負下着売り場)にいる以上言い訳は通用しないしここは素直に言うべきか…!

「きいてたよ」
「え?」
「そんなことしなくたって僕は君が好きだし、そうやってむきになる君も可愛いと思うしね。ごめんね、友達と会話してるの、聞いちゃったんだ」

何ですと!?

「え、あ、て、照美くん、あの、その、私」
「分かってる。無理して買わなくていいんだよ。僕はピンクの下着を着けた君を見てみたかったけどね」

少ししょんぼりとして困った顔で笑う照美くん。なんだか悪いことをしたような気分になる。照美くんが私のピンク色の下着姿を見たいと言っている…。彼氏が見たいと言ってる、じゃあ彼女の私はどうするべきか。そんなの決まってる。

「…照美くん。私、ピンクの下着買うよ」
「ほ、本当!?」
「うん。最初は照美くんの言う通りむきになってた。けど、照美くんが見たいっていうなら私…いいよ」

私はピンクの下着を手に持ってレジに出す。そして紙袋に入った下着を大事にカバンにしまうと、照美くんの手を握った。照美くんはすぐに握り返してくれて、その手は温かかった。

「本当にいいの?僕の為に…」
「うん。だって照美くんだもの。好きな人がそう言うんだから、もうむきにってわけじゃないよ」
「……!」

店を出た直後、照美くんが私を力いっぱい抱きしめた。

 

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