「そんなことを言われたのですか」 エドガーの執事のセバスチャンが、私の前に香りの良い紅茶を置く。いつもエドガーの家で飲むお気に入りの紅茶だ。エドガーは口元のカップを静かに傾ける。 「私はそんな付き合いなどしなくとも、貴女を愛する気持ちは変わりませんが」 「…よくそんなことがさらりと言えるわね」 「自分の彼女の前で何を隠すことがあるのかな?」 不審に笑って立ち上がるエドガーは、こちらにつかつかと歩み寄ってくる。歩く姿がしなやかで品がある。同じだけ生きているのにこの差は一体何だろう。 「ただ、少しだけ興味はありますがね」 ――え?なんて言葉を紡ぐ隙もなく、エドガーの顔が近づいてきて私の唇にそっと自分の唇を落とした。軽くリップ音がして、頬を擽っていた青い髪が離れる。眼前に悠々と立ちはだかる彼は含みのある笑顔で私を見下ろした。その顔は何かよからぬことを考えている時の顔であることを、私は知っている。 |