ついつい原宿に長居してしまい、いけないいけないとエイリア学園の寮に戻ると、私の部屋の前で仁王立ちしているガゼルさんと会いました。ガゼルさんはぎろりと私を睨み、眉を吊り上げます。うわ、なんかすごく危険なんじゃない?私。 「遅い」 ごめんなさい。頭を下げ謝ったら、大きな舌打ちが聞こえた。 「夜の八時に帰ってくるとはどういうことだ馬鹿女」 「馬鹿女!?」 「馬鹿だろう!連絡一つしないで遊び呆けてきた奴のどこが馬鹿じゃないというんだ!」 大変にご立腹なようで、ガゼルはものすごい剣幕で怒る。正直軽く泣きたい。ガゼルは私の彼氏だし心配してくれてることは分かるんだけど、ガゼルってよく分からないからなぁ。こうも怒鳴られると本当に心配してくれてるのかこっちが心配になってくる。 「何をしてきたんだ」 ぎくり。私の表情が固まったのをガゼルは見逃しはしなかった。 「言えないのか」 「あ、えと、その…。言わなきゃだめ?」 「……別に浮気だったらいい」 は?ガゼルはそっぽを向いてしまった。浮気?いやいやいや、何を勘違いしてらっしゃるのでしょうこの冷徹男は。浮気で原宿行くってどうよ。あ、デートか…。 「ガゼルも原宿デートしたいの?」 「なっ、で、デートなどべべ別にっ」 「浮気してたんじゃないって。ちょっと買い物」 「買い物…?」 ほら、そう言ってカバンからごそごそと紙袋を取り出しガゼルの前に突き出した。ガゼルは私の顔を見、紙袋を見る。それを三度ほど繰り返す。ようやく納得したらしく、少しガゼルを取り囲むオーラが和らいだ。 「中身は何だ」 「下着」 「したっ…!?」 「え、ちょっと!ガゼル!?」 たちまち顔を真っ赤にしたガゼルは、私に背を向け走り去ってしまった。その速さは、本気になったグランをしのぐほど。あんな速く走っていって息切れしないのかな。ガゼルだから大丈夫か。ぽつんとそこに残された私は一人呟き、紙袋を落とした。 「じゅ、純情…」 勝負下着を見せることになるのはまだまだ先のようだ。 |