迫るバダップ






「や、ちょっと、待って」
「何故だ」
「お願いだから離れて!」

非常に危険な状況である。王牙学園一の成績を誇るバダップが私の部屋に入ってきたかと思うと、いきなり私に跨ったのである。突然すぎて何の対処も出来なかった私は、今懸命にバダップから顔をそらしている。バダップはやはり不満そうで、でも私の両手を自身の両手で押さえつけているせいでバダップの方も何も出来ない。両者とも身動き取れず。この調子だとこの戦いを制すのは、相手より力がある方に限る。というわけで、とりわけ軍人の中でもエリート層に位置するバダップを前に私はあっさりと負け……るもんか!!

「んぬぬぬぬ」
「!」

私の渾身の力がバダップを押し返し始めた。い、いいぞ!この調子で行けばバダップなんぞ簡単に「そっちが本気ならオレも本気でいく」ですよねー。

「名前……」

掠り声で低く唸るように囁かれると、途端に私の両腕はふわふわしたカーペットに縫い付けられた。さっきと同じ状況。ただ一つ違うのは、私の上に覆い被さる男の瞳が熱を持っている点だ。
どんどん近づいてくるバダップの顔。熱を帯びた鋭く柔らかい瞳に魔法をかけられたように、私は何の抵抗も示せないでいた。実は内心こうなることを望んでいたからかもしれない。






海の藻屑となって消えろ




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