焦る吹雪






ど、どどどどどどうしよう。僕名前ちゃんに呼び出されちゃったよ!「ふ、吹雪くんっ、あの…放課後、あ、えと部活終わったあとでいいんだけど、教室に来てくれないかな?」「う、うん…分かったよ」僕冷たい男だとか思われてないかな!?分かったよの言い方が何か素っ気なかったから絶対冷たいとか思われてるよね!?は、話しづらいよ…!!
そもそも僕何で名前ちゃん気になってるんだっけ?…あ、一学期最初の委員決めの時だ。隣の席だった名前ちゃんは、みんなに委員長に推薦されたんだけどやりたくないって言ってたから、「名前ちゃんはやりたくないって言ってるよ。無理やりやらせるのはどうかと思うなあ僕は」って言ったんだっけ。その時の名前ちゃんが、小さな声で「…ありがと、吹雪くん」なんて言って笑ったその顔に、僕は一目惚れに近い衝撃を受けたんだ。それでそのあと一緒の委員会に入って…それからどんどん好きになったんだ。誰にでも親切で、でもどこかかっこよくて、笑顔が可愛い名前ちゃんは、密かにファンクラブがあるくらい人気なのに、誰からのアプローチも断ってるっていうから、きっと好きな人いないのか、他に好きな人がいるのか、どっちかなんだろうね。僕としては前者にも後者にも成し得ないだろうけど、(名前ちゃんには想いを寄せた人がいるって女の子からの情報だし好きな人がいるっていっても僕じゃないだろうしね!)そんな彼女から呼び出されれば誰だって、よし!その時告白しよう!って決心するだろう?っ
と、そろそろ約束の時刻だ。今日もいつものようにみんなとサッカーして、解散したあと、僕はそわそわしながら名前ちゃんのいる教室へ向かう。どうやって告白しようかな…やっぱり「僕名前ちゃんのこと好きなんだ、付き合ってくれる?」かな、でもそれじゃ強引だよね?「名前ちゃんと同じ委員会に入った時からずっと気になってたんだ、好きだよ」にしようか、いやそれだとキザっぽいよね、でもちょっと強引に告白した方がいいのかな、えぇアツヤじゃないから僕そんなこと言えない!どうしよう!!
教室の前に着くと、中に名前ちゃんの姿を見た。深呼吸してから入ろうかなんて考えるより言葉が先に口を伝って出た。

「名前ちゃん?」

言っ・ちゃっ・た!僕が教室に入ると、名前ちゃんは僕に背中を向けたままびくっと肩を揺らした。僕は柄にもなく緊張する。

「えっと、話って何かな」

とにかくこの場を明るくもたせようと、僕は核心に迫る。あ、しまった!!余計空気が悪くなるじゃないか!!何をやってるんだ僕はぁぁ
完全に告白するタイミングを逸した。この場を持たせるために何か…!!……ん?何だか名前ちゃんそわそわしてない?首を傾げてみるが、その場の雰囲気は良くならない。そんな空気の中、名前ちゃんが口を開いた。

「あ、あの…ね」
「うん」
「わ、わわわた、私」

どもった!名前ちゃんも緊張してるんだ。でも何でだろう?僕もどもらないように心がけておこう。

「?えっと、名前ちゃん?大丈夫?」

とりあえず緊張してるみたいだから、僕はその気持ちをほぐそうと言葉をかけた。

「好きです!」

言った直後、名前ちゃんからの信じられない言葉。……え?今何て?好き??……好き!?えぇえ好き!?名前ちゃんが?僕を?スキ?

「ほっ、ほんと?」

顔が赤くなったのを感じる。だけどそんなの気にしていられない、もし今の言葉が本当だったら。かみそうになりながらもそう尋ねれば、彼女は首を縦に振った。本当なんだ…!思わず笑ってしまった。さあ次は僕の番だ!

「良かった!僕も名前ちゃんのこと好きだったからさ」






神様仏様、
僕は今世界でいちばん幸せなんじゃないでしょうか




 

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