「ねえ、僕といいことしない?」

清純派だと思ってた人が突然こんなことを言い出したら、言われた方はどうすればいいのだろう。そうなのはいいいですよってその人の前に横たわるべきなのか、優しくして欲しいと言って彼の背中に腕を回すのか。生憎、私にはそのどちらも出来そうにない。何故なら私は清い人間だからだ。

「お断りします」
「神の申し出を断るなんてね」
「その前に神はそういうことしないと思うけど」

言うね!と高らかに笑う亜風炉は気違いなのか。そうだろうな、男のくせに女より長く髪伸ばしてるものね、一種の変態なんじゃないか。

「もういい?亜風炉さん」
「え?」
「ここにいると私の貞操の危機が」
「何言ってるんだい?」

亜風炉はにやりと笑った。確かに「にやり」と。彼の後ろにはドアが見える。…ん?亜風炉の後ろに…。

「ああああ」
「そんなに嬉しがらなくても、ちゃんと気持ちよくさせるから」
「どいてええ!!」

妄言を吐く彼に私は答えず、亜風炉はそこを退く様子が無い。こうなったらタックルして強行突破だ。彼はもやしみたいな肌と髪の色の保有者だし、私はこれでも力はある方なの!力とほんの少しの殺気を含め、亜風炉のトルソーに力いっぱいタックルをぶちかました。おっ、なかなかいい感じに…

「君から飛び込んで来てくれるなんて嬉しいな」
「あ、れ?」
「何、君のそのちゃちなタックルで僕を突破出来ると思ったのかい?」
「だって、わ、私…」
「君の力なんてたかが知れたものだよ。僕の力を見せてあげる。…君の上でね」
「いやあああ!!」






濁った清水


 

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