何が嬉しいって、早めに練習が終わって教室に忘れ物をしてそれを取りにいって下駄箱に来た時に君がいることだよ。一緒に帰ることをずっと拒んできた君が僕を見「…一緒に帰ろう」なんて言った時は思いっ切り平手打ちをしそうになった。もちろん自分に。でも美しい顔が赤くなって痛々しく見えるのは情けないものがあるからやめる。ナルシスト?本当のことだから仕方ないじゃないか。

夕日が照らす帰り道、僕の横を彼女が黙って歩いている。僕も黙って歩く。思えば、二人で帰るなんて初めてだからこういう時何していいのか分からないし何かすることがあるのかななんて思ってしまう。前から高校生のカップルがやってきた。あっ、僕は声を上げそうになった。
恋人つなぎ。そうか恋人って普通は手繋いだりするよね普通。そのカップルとすれ違ったあと、僕は横にいる彼女に声をかけた。

「ねえ」
「…何」
「手、繋がない?」

彼女は顔が真っ赤になった、彼女もさっきの二人を見て考えてたに違いない、ちょっとリードしてみようかな。

「ほら、」

彼女の手を取ると指を絡めしっかり握ってみた。恋人つなぎだよ、意地悪く言うともう片方の手で繋いだ手をぱしんと叩かれた。彼女は勢いよく僕と手を離す。あれ、失敗かな。

「……そういうの、したくない」

そう言いながら顔真っ赤だよ。






帰ろう
今日は送らせて


 

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