甘いアフロディ






偶然にも告白されている場面を見てしまった。誤ってボールを校舎の裏の茂みにやってしまい、それを取りに行ったら「好きです」という声。僕は人の恋に興味など無いので、ボールを取ったら早々に立ち去ろうとしたのだが、好きですと言われた女の子が、自分のよく知っている…いや、自分の恋人である人物だったから、思わず歩みを止めてしまった。名前じゃないか、何で告白されているんだ?

「あの…ごめんなさい。私他に好きな人いるんで…」

彼女は体よく断った。男は小さく頭を下げてから、僕の方に走ってきて、そのまま横を通り過ぎて角を曲がっていった。彼女がゆっくりとこちらを向くと、少し驚いた顔をして僕の名前を呼ぶ。いつからいたのって訊かれ、好きですのところからと答えれば、始めからいたんじゃんと半ば呆れるように返事を返された。

「どうして恋人がいるって言わなかったんだい」

名前は少し困った顔をして、僕の方へ歩いて来た。腕を広げれば、彼女はすんなりと僕の腕の中へ入った。温かい。

「恥ずかしかった」
「恥ずかしい?」

きけば、名前は僕を恋人だというのが恥ずかしかったようで、可愛いなとか愛らしいなとか色んな想いが頭の中をよぎったが、あえて言いたいところをぐっとこらえる。でも話を聞く限り、僕が一番言いたいことは一つ。これだけは決まってるんだよ。誰にも譲れないし、譲るつもりも毛頭無いから。






決定事項
君はずっと僕のものであること




 

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