あ、数学の日村先生だ。こないだ提出だったチャート式、さっさと出さなきゃな、そう思って声をかけようとしたら、日村先生の隣に制服を着た女の子がいるのが見えた。なんか妙に近い?と思ったら、先生は右手で女の子の腰を抱き寄せ、耳元に口を寄せて何かを囁いていた。階段の裏、ちょっと人目につかない所。連れ込むにはぴったりな。
いくら仲良しだったとしても、学校でみる先生生徒の距離ではないし、いい大人が職場で。単純に気持ち悪くて思わず変な声がでた。

「うえぇ…」

「「っ!!」」

思ったより響いた自分の声に、ビックリするくらい凄い顔で、声にならない声を出して日村先生と女の子がこっちを振り向いたから、逃げるに逃げれなくなる。廊下で楽しそうにお話に精を出していた子達も、私の変な声に視線を集めた。このまま何もなかった様に通り過ぎても良いけれど、日村先生の行為には不信感もあるし、もうこの際仕方ないから、一肌脱いで、はっきり思った事を言ったのだ。写メも撮った。

「せんせーあり得なーい。はいチーズ」

かしゃ

電子音と共に日村先生から表情がなくなる。腰を抱かれた美少女の目も、私から逸らされて空をみていた。なんだか、不倫現場みたい。ちらりと目のあった女の子、思ったより地味で冴えない顔をしていて。
あーあ、やっちゃった。そう思った。






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -