12月31日11時55分
あと五分で今年が終わる
せっかくだからと来た初詣は参拝客が多すぎて鬼道クンとはぐれてしまった
「もーなんで出ねンだよ」
さっきから耳に当ててる携帯は無機質な音がながれるだけで一向に繋がらない
「あと3分なんだけど」
できるだけ人混みから離れようとして着いた先は神社に出ている出店の裏だった
反対側の人混みとは対照的に、自分がいるそこはだれもいなくて、人混みで忘れていた寒さが際立つ
プルルルル
やっぱりでない電話にさすがにムカついて一人帰ろうとしたときにいきなり手を引かれた
「はっ!?」
そこにいた相手はさっきから電話を掛けていた鬼道クンで
「よかった」
「よくないんだけど!鬼道クンなんで電話でないの?」
「携帯落とした」
「まじかよ。最後の最後に災難だったね」
「そうだな。まぁでも」
そう言ってすぐに俺の唇に違和感
参道ではカウントダウンの声
嗚呼年が明けた
「あけましておめでとう不動」
「…おめでとう」
「今年は良い年になりそうだ」
そう言った鬼道クンは俺の手をつかんで参道に向かった
「ちょっ…手!鬼道クン!手!」
「こうしていれば離れないだろ?」
ドヤ顔ムカつくけど
今隣にいるのが鬼道クンでよかった
言わないけど
A HAPPY NEW YEAR!!
( back )