後ろから抱き締められたときすごく懐かしい感じがした
それがなにかと聞かれたら答えることはできないが、確かに身に覚えのあるなにかで

「そうされると、落ち着く」
「そうなの?鬱陶しくない?」
「なんか、懐かしいんだ」
そう言うと、背中にあった熱はどんどん冷めていって
後ろにいたはずの不動が俺の膝の上に座った
「重いぞ」
「お前よりは軽い」
今度は俺が不動を抱き締めるかたちになる
「母さん」
「…え?」
「思い出した」
それから不動は淡々と話始めた
「昔、好きな絵本あって。毎日それを読んでもらうんだ。こうやって、母さんの膝にのせてもらって、絵本読んでくれんの」
「お母さんは…」
「死んだ。俺が小4の時。事故だって言うけど、きっと自殺。父さんもその2年後にいなくなった」
「すまない…」
「なんで鬼道クンが誤んの?」
「思い出させてしまって」
「別にぃ」
抱き締める手に力を込める

「痛いって。ねぇ鬼道クンは母さんの事覚えてる?」

あの感覚は、、、母さんのぬくもり

顔も覚えてないのにそんな感覚だけ覚えているのは忘れることができないから


忘れてしまわないように

「なぁ不動、ずっとそばにいて」


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