世界が終わる音がした。 | ナノ
昨日は大変な事が起きた。
テレビの速報だかなんだかで隕石が落ちるとか何とかとニュースがあって、街中が大パニックになった。最初こそ誰も信じちゃいなかったもののアメリカの某有名組織が世界中にニュースを流した為に信じざるを得ない形になってしまった。
まあ結果はこの通り。私を含め誰も怪我一つしてはいない。まあ私の知る限り、ではあるが。
そして何も被害がなくて良かったには良かったのだが、私達は学生の身分であるから学校がある。昨日は午前だけだが授業があって、更に一、二時限目の授業では宿題が出された。勿論、世界が明日で終わると(最終的に)信じ込んだ私はその宿題をやってないし、触れてもいない。まあやってないのはいつものことだし、正直特定の科目以外はまともに授業も聞いてないような気もする。で、今回出された宿題は、その特定の科目であって。怒らすと怖い先生なのであって。世界が終わるからといって宿題やってなくても免除!みたいなことはしてくれないような先生なのであって…!

「お、名字ー!」
「円堂、」

後ろから呼ばれて振り返れば同じクラスの円堂が腕を大きく振りながらこちらに走ってきていた。それを見て先々歩くのあれだし、と足を止めて走ってくる円堂を待った。

「はっ、は…はよ!名字」
「はよー、そんな急ぐ必要なかったのに」
「そっかな。んー、だってさ、」

もっと近くにいたかったんだよ。
にっと笑って円堂は言った。口がぱっくり開いてしまいそうになった。こ の、天然タラシが…!無自覚なのがまた質悪い。一緒にいたら早死にしそうNo.1をあげるよ。もちろん死因はキュン死にで。

「昨日は大変だったよなー」
円堂が隣に来てまた私は学校へ向かって歩き始めた。
あ、こんなとこ秋ちゃんや夏未さんには見られたくないな。明らかに邪魔だよね、私。

「あぁ、隕石?」
「おー。結局隕石とか何かそう言うのなかったみたいに朝目が覚めてさー」
「円堂的にはサッカー出来るからよかったんじゃないの?」
「まあなー!」

円堂ははは、と笑った。

「それにさ、また朝こうやって名字に会えてよかった!」


「そういえば、円堂宿題やった?」
「へ?宿題?」
「やってないでしょ」
「あー、うーん…えー、と」
「…鬼道くんっていつも来るの早いよね」

「…ああ!俺今日あの、あれ、日直!だったかも!さ、先行ってるな!!」

今、私の顔、真っ赤だと思う。心臓が!保たない、って、ば!

危ない、円堂に惚れそう、と思ったところで、やっぱり、隕石今すぐにでも降ってこい、と思った。もしくは私の心臓よ、隕石と同じように砕けてしまえ!私は青々と広がる雲一つない空を睨んだ。
秋ちゃんや夏未さんの敵にはなりたくない。