じょじょ四部 | ナノ
まさか、二度目の人生があるだなんて、誰が想像しただろうか。しかも前回の人生の記憶をそのまま残してだなんて、これなんて強くてニューゲーム。
生まれたのは1980年代。過去に生まれ変わるなんてことがあるなんてのは驚きだった。予言しよう、今に電話がコンパクト化し持ち歩けるようになるってな!予言者ってこうやって生まれてきたのかもしれない。
生まれた土地はM県S市杜王町。どうやら俺は漫画の世界に生まれたのかもしれない。一度目の人生での記憶を辿るがそんな地名に覚えはないが、漫画の世界には覚えがあった。更に驚くことにお隣の家は‘東方’さん。俺はもしかしなくてもジョジョの世界に生まれたのかもしれない。何を言っているのかわからないだろうが以下略、つまりポルナレフ状態。そういうことらしい。ダイヤモンドは砕けなくても俺の精神は砕けそうだ。俺は面倒事は御免被る。

あれから20年、俺は大学生になった。実家のお隣は変わらず東方さんでその息子はリーゼントに憧れていた。巻き込まれて面倒事になる、ようなことはまあないだろうと俺は流れるままに地元杜王の高校へ行き、流れるままに地元杜王周辺の大学へ入学。仗助が日に日に逞しくなっていくのを見て、漸く本編へ巻き込まれるのではないかと思いたち、さすがに大学生にもなって親と一緒に住めないとどうにも無理矢理な言い訳を通し、どうにか独り暮らしを始めた。のにも関わらず元お隣の少年は目敏く、俺の根城を見つけ出し、あろうことかよく入り浸るようになってしまった。これあんまり回避できてなくないか。ナンテコッタ、パンナコッタ。



「だって和真さァん、今年には世界が終わっちゃうんすよ〜?」

ウチの小さなソファで気だるげに寛ぐ不良テイストな羨ましいくらい背の高い、日本人離れした整った顔立ち高校生が、子供のように声をあげた。どうやら彼(か)の有名な‘ノストラダムスの大予言’を信じこんでいるらしい。未来を生きた俺から言わせてみれば、そんなバカなことはないから安心して勉学に励め、だ。

「んなわけねーだろ?仗助お前さぁ、そんなこと心配する暇あんならベンキョーしろベンキョー、がくせーのほんぶんはベンキョーだぞ」

呆れながら返すと仗助はそれ分かって使ってますか〜?と茶化すように笑った。使い時は合ってるっつの。

「俺別に和真さんに心配されるほど頭悪くないんすよ、それに!まだ授業始まったばっかだし、わかんねーとこある方がおかしいんすよ」

ま、いざとなったらお袋もいるし、最悪和真さんが教えてくれるかな〜って、と言いながら仗助はニッコリと笑った。やーなこった、とあしらうと仗助は焦ったように取り繕おうとし始めた。そういや、高校生って何習うんだったか。いや、別に教えないですけどね。あれ、そういえば、四部の本編ってそろそろじゃないか。