古いの | ナノ
「なぁ、好き」

授業と授業の間の10分休憩。周りの目を気にすることもなく、私への好意を丸出しにしているのは隣の席でもないのに隣の席に座る浜野だ。何故隣に座るのか、ちょっと前に聞いたことがある。まあ、なんと言うか、口説く時はその人の右に座ると落としやすいって言うのをテレビで見たからだとかなんとか。本当かどうかなんてわからないけれど。

「好き好き、なんちゅーか、もうホッント好き」

これが始まったのはもう二週間も前になるが、何から始まったか正直とんと覚えがない。ある日突然浜野に好かれたと言っても語弊はないだろう。これのお陰で友達からは冷やかされるし男子からも冷やかされるし挙げ句先生からも冷やかされる始末だ。まあつまり、冷やかしがつらいということなんだけれど。

「なぁ、名字聞いてんのかよ」
「聞いてるよ」
「ホントかよ、まぁそんなとこも好きなんだけどなー!」

持ち前の笑顔とポジティブシンキングだかなんだかわからない発言を私に投下した浜野は黒板の上に備え付けてある時計を見て「あ、やっべ、次の準備してねーじゃん!」と言って慌ただしく自分の席へ戻っていった。ため息を吐いた私のところに隣の席の倉間が戻ってきてため息混じりに言った。

「お前も大概強情だよな、さっさと好きになったって言えばいいのによ」
「う、うるさいなぁ」

実はまんざらでもないあたりがどうしようもない。


右側から落ちる
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