古いの | ナノ
ピンポン
ウチのベルが鳴った。
ピンポン
二度目のベルが私の鼓膜を響かせる。
ピンポン
うるさいなぁ、いないいない、留守ですよー、そう心の中で言って居留守を決め込む。その後も鳴り続ける呼び鈴を幾度と無視し続けたが、十何度目ともなると流石に諦めろよと思う半面ほんの少し罪悪感がにじみ出る。
ほんの少し興味本位で相手の顔を見たくなった(これだけ無視して尚鳴らし続けるとかどんなバカだ)。ソファの上でしていた体操座りを解いて、玄関へ駆け寄るが、覗き窓には期待していた顔は一切映らず、おそらく衣類(の胸元)であろう部位のみが映っている。
どんなデカブツやねーん。
慣れない大阪弁でツッコミを入れると同時にまたピンポンとベルが鳴った。
あーもう、いい加減にしてくれ。

「、ハイ」
「はー、ようやっと出たばい」

ガチャリと玄関をあけて(勿論防犯を考えてチェーンは付けたまま)相手の顔を伺うように顔を見上げると褐色の肌のにっこり笑顔と一緒に聞き慣れない言葉が降ってきた。
誰。何。

「隣に越してきた千歳ちゆうもんです、これ、つまらんもんですが」

引っ越しの常套句を並べてどうぞと差し出されたビニール袋、中には何か平たい箱が入れられている。引っ越し蕎麦とかそうゆうものだろう。
おずおずと手を伸ばし差し出されたものを受け取ると、…千歳さん?は満足したように笑って「よろしく」と言ってカランカランと下駄を鳴らしながら帰っていった。下駄て…何ていうか、古風?
お隣さんの履物に注目しつつ、戴いた袋を家に引き込み、扉を閉めた。
中に何が入っているのかと袋を漁りつつ、さっきの人物を思い返す。背高かったな、大学生くらい?もしかしたら社会人かな、どこ出身なんだろ、方言とか詳しくないから分からないけれど。
袋から出した箱にはいきなり団子と書かれた包装紙が巻かれていた。

「いきなり団子って何」

何がいきなりなのかは分からないがとりあえず団子であることは分かった。



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