古いの | ナノ
休日、名字とオレはオレの家でのんびりコタツに入ってテレビを見ていた。いわゆるお家デートだ。
いつもなら家に呼んでも気恥ずかしくてリビングでまったりなんてできず、即行で自室へこもるんだが、今日は運がいいことに母ちゃんは知り合いの家にお呼ばれされて家を空けているし、ルミは友達とショッピングだとかなんとかで帰りも遅くなるらしい。ほんとラッキー。
コタツでミカンの白いとこを神経質にむしりながらテレビを見ていると名字は「ごめんまたトイレ借ります」と小走りにトイレへ立った。
これで今日名字がトイレと言ってコタツを出たのは五度目だ。
…頻尿?ここにヒメコがいてオレの心が読まれでもしていたらどつかれそうだな。でも普段あいつそんなトイレとかいかねぇし、… ああ!あれか!生理!!あぁ、いやでもあいつこの間ヒメコと最近終わったとかどうとか、…あぁん?わかんねぇ!
ミカンの白いところがきれいになくなり、手のひらの温度で生暖かくなったミカンを口に放りいれた。まっず!
リビングと廊下を隔てるドアが開いて名字が寒い寒いといいながらコタツへ滑り込んだ。
寒い?あぁそうかオレ上に半纏羽織ってるからなぁ。
そういや、チュウさんの無駄話で寒いと膀胱がどうにかなってションベン行きたくなるみたいな話があったなぁ…。

「寒いの?」
「え、別に?」
「今寒い寒い言いながら帰ってきただろー」
「あぁ、廊下がね」

言いながら名字はミカンに手を伸ばした。
いや、でも寒いからトイレ行きたくなるんだろ?半纏はオレが着てるこれしかないし、だからって脱いで渡すとオレが寒いし…

「ったくしょうがねぇな」
「え?」

よっこら、と重たい腰を上げて立ち上がりオレは名字の後ろに尻餅をつくように座りこんで、名字を包み込むように抱きしめた。

「うぇ、ちょ、な、何!?」
「あー、うるっせぇな、寒みぃんだろぉ」
「えぇ、いいよ」

コタツに入ってるから寒くないだとか、文句を言う名字の口にさっき綺麗に剥ききったミカンを突っ込んでやった。

「じゃあ、オレが寒いんだよ」
「そんなことよりミカンが生暖かすぎてまずいんだけど」




生暖かいミカンはまずい
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