古いの | ナノ
流石の私もそれをみた瞬間全身の毛という毛があり得ないくらいにぶわわっと逆立った気がした。
私の手のなかにあるのは恋人である修吾さんの携帯。その携帯画面の中には沢山の私。西垣君の話は本当だった!(「名字先輩は知ってるんですか?」)(「二階堂監督の携帯のフォルダ、」)(「名字先輩ばっかりですよ」)この間会った西垣君から言われた言葉が脳内でさっき起こったことのように思い出される。
あああ、何だろう、この、なんか、…複雑な心境。いや、浮気されてたよりはマシなのか。というか、これらの写真は目線とか角度的に全部盗撮じゃあなかろうか。うわ、寝顔まである、削除削除。こんだけあれば何枚か消してもバレないバレない。そう思ってとりあえず修吾さんがお風呂に入ってる間に寝顔だけは全削除させてもらった。それがいけなかった。
お風呂から上がった修吾さんがカコカコと携帯を弄りだす。


「…もしかして名前俺の携帯弄った?」
「な、んで?」
「…弄ったでしょ」


しらばっくれれば携帯に向けていた冷めた視線を私に向ける。
あれ、何だろう。ヤバイ、かも知れない。いや、携帯弄ったのがバレたとかそんなんじゃなくて。あれ、この顔見たことあるぞ。あれ。
パチン、と携帯を閉める音がした。


「あ、その、ゴメン、なさい」
「え?いやそんな怒ってないけど」

私が申し訳なさそうに俯いて言えば、修吾さんはいつもの声色で返答する。
いや、別に怒ってると思って謝ったわけじゃないんだけどな。

顔を上げれば目の前にいやな笑みを浮かべた修吾さんの顔があった。


「しゅ、ごさ、近、
「怒ってない。怒ってないけど」

「お仕置きが必要だな」


ぐっと体を近付けられ、抱き上げられる。懸命に抵抗するも無意味で、ただ子供が駄々をこねてバタバタと足を振るような動作にしかならない。
しょうがないと思い抵抗をやめれば、修吾さんは私に見えない角度でニヤリ、と笑った。修吾さんは片手に自分の携帯を持って、私達は寝室へ向かった。
これから起こることを私は知らない、し知りたくもなかった。






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