古いの | ナノ
(高校生設定)



中学から高校に入ってからの女子の成長は目に余るものがあると思う。
そりゃ精神面は当然のこと、俺が言いたいのは外回りの成長のことであって。それが俺にとっての心配事の一つだ。

「お前さ、何かまた大きくなった?」
「え、そう?」

目の前の彼女、名前は俺の言う"大きくなった"場所を撫でる。あ、腹じゃないぞ、そんなこと言ったら「え、そう?」の前に拳が飛んでくるに決まってる。それに腹だったとしてもおめでたではない、そんなことしたら退学ものだ、そんなヘマはしない。

「俺、そんなに揉んだ覚えないし、まさかお前うわぎっ」

ごすっ、と鳩尾に容赦なく拳がめり込んできた。お陰で浮気って言うつもりが上着になっちまったじゃないか。いや、冗談だぞ、名前のこと信頼してるって。

「ゔ…名前、」
「何よ、気にしてんのに」

気にしてるって何。って言おうとして酸素を取り込もうと息を吸ったらごほごほと咳き込んでしまった。
ちょ、本気で喋れない。

「わ、ごめん、やりすぎた?」
「ん゙、大丈夫っごほ、」

優しく背を撫でてくれるのはいいけど、その手がさっき俺に害をなしたと考えると恐ろしいかぎりだ。
息を整えて、もう一度聞きなおした。

「…気にしてるって?」
「え!?」

いやー、と視線を俺に合わせて、外して、合わせて、外して…。
いや、そんなにいいずらい事なら言わなくていいんだけど。とも言えないな、やっぱ気になるし。

「あの、さ」
「うん?」
「好きでしょ?小さい、方、が」




何が。
と言い掛けて、気付いた。え、何、それ、え?そんなこと気にしてんの?
いや、俺全然おっきい方が好きだし、例え平らだって名前なら全然平気ってか俺がおっきくするし、え、何それ、待って、すっげかわいい。
あーもう。
無性に胸がキュンキュンしてきて、何かもう、

「名前、おいで」
「へ、」

おいで、と言ったにもかかわらず名前の方へ自ら歩いていって、ぎゅ、と名前を抱きしめた。
あー、何このかわいい生物。
すっげー幸せ。


俺のちょっとした幸せ
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