古いの | ナノ
いっぱい食べる君が好き、とは言っても限度はあるもので。
目の前でガツガツと脂っこいものやあっさりしたものを飲み込む新開はどこぞのカオナシかと思うほどだ。たまに欲しいのか?って聞かれるたびに私は千尋に成ったように思う。欲しがれ、じゃないからそんなでもないけど。もちろん私は私の分を食べ終わっているのですべて断っている。モグモグゴックン。どこへ行っているのか皆目検討もつかない量が新開の口へどんどん吸い込まれていって、とうとう皿の上はキレイに何もなくなってしまった。化け物だわ。

「ふぅー、うまかったな」

随分な量を食べた新開と会計を済ませ、店を出ると新開は次はデザートが食べたいとのたまった。とんでもない胃袋をお持ちのようだ、彼は。まだ食べるの、と聞くとデザートは別腹、とまるで女子のように返した。今時女子も言わない。
とはいえ、私も甘いものは好きだ。近場にその場で食べれるオープンカフェ的なものが付いたケーキ屋があったはず、と思いだし、新開に伝えると彼は意気揚々と足を進めた。足は迷うことはなく目的地へたどり着き、お洒落なドアをくぐった。

「これと、これと、これとこれ…あ、あとこれ」

新開は店へ入ると早速めぼしいものをテキパキと購入すると、カウンターの奥にあるテーブル席へ向かった。手慣れている。私も適当に二つほどケーキを選んで新開の元へ急いだ。私が椅子に座ると新開は待ってましたと言わんばかりにケーキを口に運んで顔を綻ばせた。

「よくそんな食べれるよね」

新開が五つ目を口へ放り込んだ際にぽつりと呟くと、新開は目をパチパチと瞬きさせた。飲み込んで口の中を空にさせ、新開は口角を上げて言った。

「そりゃ、好きな子と食べるご飯はより一層うまいからな」




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