古いの | ナノ
面倒な授業中、先生の呪文のような言葉が教室を満たしていた。それを聞く生徒もいれば、その呪文に誘われ深い眠りに落ちている一人もいた。私はそのどちらでもなく、先生の呪文を耳にいれるでもなく、窓際という利点を生かしてグラウンドの様子をぼうっと眺めていた。
ぱっと目に入った赤い髪。それはクラスから察するに新開であることは間違いないだろう。
新開。といえばバキューン、と言いながら指を銃に見立てて撃つ決めポーズが頭に浮かんだ。彼の後輩曰く絶対に仕留める、だそうだ。猟師か。

「バキューン」

小さく呟くように新開に狙いを定めて撃った。格好をつけてふぅと銃口から昇る硝煙を吹き消す。なんちゃって。見られていたら少し恥ずかしいな、そう思って周りを見渡して誰も見ていなかったことを確認して下を見てぎょっとした。新開がこちらを見上げている。
いや、いやいや、見られてる分けないよ、ないない。
さっと私は腕を組んでそこに顔を埋めるようにして、隠れるように寝てしまう体勢をとった。
いや、まぁ、別に見られて困ることはなにもないけど。


無機質なチャイムの音がなって目が覚めた。どうやら私はあのまま寝てしまっていたようだ。乱れた前髪を整えながら周りを見渡した。教室の入口に赤い髪が見えて思わず息が止まった。新開…!
うわぁ、と思ったときにはもう遅く、新開は片手を挙げてやぁ、と言いながら近づいてきた。
前の席の椅子を借りてそのまま座った新開はいやにニコニコとしている。

「まさか名字から直接仕留められるとはな」
「いや、何が」
「ん?」

突然ぴっと人差し指を目の前に突きつけられ、驚いて少し背中を反らせた。新開は気にする様子もなく厚い唇でバキュンと私を撃ち抜いて言った。

「ちゃーんと見てたぜ?」
「…」

それは恐らく私がさっき新開へやった行為を指しているのだろう。ですよねー、やっぱりそうですよねー、心のなかで思いながら、黙って俯いた。

「なぁ、責任とってくれよ」
「せ、責任、って?」

新開は、にこりと笑って、ピストルにしてた手をひらりと翻しそのまま頬杖をついた。

「もちろん、俺を仕留めた責任だよ」
「仕留めた、責任…?」

私が首を傾げて新開の言葉を繰り返すと、新開は困ったような笑みで、楽しそうに言った。

「うーん、以外と鈍感なんだなぁ、付き合ってくれって、意味なんだけど」




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