( そんな貴方が、 )
( あー、せっかくキレイだったのに )
そう言って昨日染めた俺の髪を残念そうに貴方は撫でた。
色素の薄い貴方と違って、真っ黒だった俺の髪の毛。
今はすっかり茶色になってしまったけど。貴方が俺の髪を好きなのは知ってたよ。
だからこそ、だよ。
俺だって自分の髪は好きだった。
でも、それと同じくらい嫌いだった。
貴方が好きなのは“黒い髪”。
“俺の髪”じゃないから。
この髪を通して誰をみてた?
俺じゃ、ねーだろ?
だからさ、全部やめることにしたんだ。
黒い髪も
貴方への、想いも
期待したりすることも。
髪を通して伝わるお前の貴方が離れていくのを名残惜しいと思うのも、これが最後。
end
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