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鬱々と引きこもりたい気分だったが、この世界に踏みとどまったのは自分だし、今日は平日でふっつーに何事もなく大学はあるわけで。

行くしかないわけで。

ていうか行かないとそのままずるずるずるずる引きこもるのが目に見えてるので、きちんと大学へ行き、昨日のは冗談だと、たちの悪い冗談に動揺してしまったと伝えよう。そうしよう。信じてくれなくても貫き通す。なんせ俺はあいつの友人代表のスピーチをしてやるんだから、なんてわけのわからない思考回路のもと、大学へと向かう。



大学へ行くと同じ講義をとってるあいつがいつもの席に座っていた。俺と一緒に座っていた席に。


そこに近づいて行くと、俺に気づいたあいつがいつものようににかっと笑った。



「はよー。なんか遅くね?」



普段と変わらないそれに、違和感を覚える。


「………そ?間に合えばいっかなって」


「そりゃーな」


いつも通りだった。
講義中にすっかけてくるのも。
笑顔も。
肩を叩かれるのも。
なにもかもが。
昨日が丸っとなかったかのように。



なかったことにされた。
こいつにとっては、昨日の出来事はナシになったんだ。



本来なら喜ぶべきことなのに、なんでか息苦しくて、なかったことにしたいくらい、この思いはダメってことだ。



どっちに行けばいいかわからなくて、結局曖昧に過ごすしかなかった。










まあ、しかし。
限界なんてのはやってくるわけで。
覚悟だなんだ言ってはみてもやっぱりナシにされるのはしんどいわけで。


というか、曖昧に笑い続けるのが嫌になったんだけど。



「むりだわ」


「え?」



その日もいつも通り一緒に帰るところだった。


適当に喋りながらどっちかの家に行くか、そのまま解散するかだが、数日間の作り笑いのあとに行き着いたのは無表情だった。


いや、実際に今自分がどんな顔してっかはわかんないんだけど。まあ、とりあえず笑ってはいないのは確かだわ。



「なに?むりって、あ、今日は帰る?」


「いやいやいや、もう無理だろお互い。わかってんだろ。好きだよ。俺はお前が好きだよ。なんかもうほんと、ごめん、だから、」


「な、んでそんなこと言うんだよ!」


「じゃあどうしろっつーんだよ!」


「もしお前が俺のこと嫌いになったらどうすんだよっ」


「んなことあるわけねーだろっ」



はぁはぁと、荒い息づかいが耳に届く。


なんなんだ一体。
落ち着こう。一旦………、いや、俺は落ち着いている。おかしいのは目の前にいるやつだ。


「………なんで俺がお前を嫌いになんだよ」


「いや、なんかお前に嫌われたらって想像したらすげー悲しくなって………」



「だから、なんでそんな想像したんだよ」


「だって、幸せな想像したら同じだけ不幸な想像しない?」


「はあ?」


「俺、お前に好かれてるって思ったらなんかすげーぶわぁってなって、でも、好かれて浮かれたあと、なんかの拍子で嫌われたらぐわぁってすげーへこむもん」


「………………」


「………………」


「………お前ってそんなに頭悪かったっけ」


「いや、自分でもうまく整理できてない。ごめん………」


「あー……じゃあとりあえず俺はお前を諦めなくてオーケー?」


「あー……そうしていただけると、はい……」


「ははっ、やっべぇ、震えてる!」


「それはなによりで」



とりあえず今度ふたりで歩道橋からネオンを眺めよう。


この間よりも鮮明で、すこし汚いくらいがちょうどいいと思う。

end

完全に趣味
会話文が多いとことか
でも会話文楽しかったんでよしとしよう

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