( 2 )



「利光、」


食堂に俺以外の声が響く。
凛としたその声は俺の幼なじみであり、この学園の風紀委員長であり、恋人のものだ。


「や、」
「大和!」


おい、お前。クソ転入生。俺がさっき言ったこと理解してなかったのか。今、大和は俺の名前呼んだだろーが、なんでてめえが


「大和聞いてくれ!利光ったら酷いんだぞ!あ、もしかして大和、俺を助けにきたのか?」


大和はクソ転入生へと視線を向けた。
中学のときは明るい茶色に染められた髪が、高校に上がると同時に黒く染め直された。にもかかわらずそんなに綺麗とか反則だろーが惚れ直すぞ。


「あー、と。うん、まあある意味助けたかったよね」


「大和!」


大和のその発言に頬を染めるクソ転入生。気色悪い。


「でも救いようないよね。君の頭」


「………え?」


「あーうざい。利光、こっちきな」


「ん」


大和に呼ばれ、そちらへと行く。その間、クソ転入生もクソ生徒会も周りの一般生徒もフリーズ状態。でもそんなの関係ねえ。

俺は一週間もガマンしたんだ。
一人が好きなのに大和のためにこんなうっぜえ奴らと一緒にいたんだ。


「……大和、甘えさせろ」

「いーよ」


ぎゅ、と大和に抱きつく。同じくらいの身長だから、大和の首筋に鼻を擦り付ける。


「俺、一週間もガマンしたんだけど」

「ありがとー。おかげで萌えたよ」

「………そーかい」


大和もぎゅっと俺を抱き締めてくれる。ずっとこのままでいたい、なんて思っていたら。


「お、お前ら失礼だぞ!」


騒ぎ出したクソ転入生。



「うるせえ黙れ」



そしてそれを一刀両断する大和。
キレて口の悪い大和かっこいい。普段もかっこいいけどさらにかっこいい。惚れる。


「おめー、一週間も利光を貸してやったんだ。有り難がられるならまだしも、なんで文句言われなきゃなんねんだ、ああ?」


「な……!」


( きゅん……//// )←※利光


「つーかまじこんな近くで見るとますますきめえ。はー、王道萌えとか言ってた自分シネ。なんでそんなに自信あるわけありえねーから。つーか今後一切俺と俺の利光に近づくなよ、わかったかこのバカ」


「お、お前…!失礼だぞ!それに……」



( 俺の、だって……/// )←※利光


「それに、これは鬘だっ」


そして鬘の下から現れたのは金髪。







「いや、鬘とかみんな気づいてたから」








「……………は?」

「いや、だから、みんな気づいてたから」

「な、なんで」

「今時もっとナチュラルな鬘いっぱいあるし。つーか、お前、鬘かぶっててもかぶってなくても全然変わんねーじゃん」

「そんなことないだろ!髪だって金髪だし、」

「傷みすぎ。利光のサラサラヘアー見習えよ」


「っ、と、利光より俺の方が、」


「は?利光とか誰の許可とって呼んでるわけ?やめてくんない?つーかなに?俺の方が、なに?まさかお前に利光より優れてるところがあるっていいたいわけ?なに?ギャグなの?笑わせたいの?勘弁して。容姿も、中身も、何もかもが利光の方が上回ってるから」


「っ、」


「疲れた。利光、行こう」


「ん」


「待てよ!」


「今日は一緒に寝ようか」

「まじ?一週間ぶり。つーか何もかもが一週間ぶり。ちゅーしたい」


「待てって!」


「ちゅーだけ?」

「まさか」

「だよねー」

「ん、行こ」


「待、うわあああああん!!!」


こうして平和になるのでしたー

end

完全にアンチ王道なY氏によるY氏のための小説でしたごめんなさい自己満に走りすぎました。

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