あ、あつい



フラつきながら硬貨投入口に百円玉を二枚ほど突っ込み、つめた〜い飲み物のボタンを押す。
ジリジリと熱を取り込んでるコンクリートにあまり近づきたくないんだけど、
取り出し口が足元にあるこの構造に文句つける前にひょいとペットボトルの飲み口を掴んで取り出す。

あいた右手でおつりの50円を取ると、びっくりするほど硬貨は冷たく冷え切っていた。
本来の金属の冷たさみたい。
左手でぶらんと掴んでいたお茶の表面は外気の熱さで汗をかいていて、溜まった水滴がぱたたと地面にシミをつくる。

私はこの金属の冷たさを知っている
みずみずしく潤す水の冷たさとは違う、硬くてじんわりと熱を奪って伝えていく
金属の無表情な冷たさ。

ふっと金髪で黒い目のサイボーグが脳裏に映る。
彼の腕もこんなに冷たいのなら、軽い避暑地になるんじゃないかしら。

暑い!という理由で腕にまとわりつく私に対する彼の反応を想像してひとりニヤつく。
そうと決まればあの部屋に向かうため、ぐるっと方向転換をする。


握りしめたおつりは、私の熱で熱くなっていた





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