花沢輝気には最近同じ超能力使いの友人が出来た。名前は影山茂夫。同い年で隣町の塩中学校に通っている。彼にはモブというあだ名があり、ヘルメットのような髪型をしている。そう、目の前の人のような黒髪で、


「おや、影山くんじゃないか」

「あれ?花沢くん?どうしてここに?」

「え?茂夫くんのお友達?」

振り向いた見知らぬ女の子は、花沢輝気のハートを仕留めた。


「おい!影山くん!」

一歩手を引いて街路樹のほうに影山くんを向かせ、こっそり耳打ちをする


「隣の可愛い女の子は、彼女かい?」

「かかかか彼女だなんて…!違うよ、クラスメイトで、たまたま新しく出来たお菓子屋さんに行く途中で会ったんだ」

「へえ…ならばこの花沢輝気、そのお菓子屋さんに同行しよう」

「え!花沢くんも来るの?」

「何か問題でもあるかい?茂夫くん!」

「い、いいえ…」

「あ、茂夫くんのお友達も一緒に行きましょう!」

新しく出来たお菓子屋さん、プリンがすごく美味しいんだって、と初対面の花沢に彼女が優しく笑いかける。

「いい女の子じゃないか。安々と影山くんの隣にはおいて置けないなァ」

「…花沢くんに、プリンあげないよ」

「じ、自分で買うよ!!」


両側の超能力使いが見えない戦いをしていたのは、間に挟まれた彼女は知る由もなく、三人で食べるであろう美味しいプリンにひとり舌鼓を打っていた。


お菓子屋さんまであと少し、晴れた休日の日、
葉を落とした街路樹の道を三人で歩む。






企画:モブとテルと学生らしい日常
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