吹雪と風丸の3人で馬鹿みたいに屋上で騒いでいたらあっという間に昼休みは終わった。私と風丸は吹雪に別れを告げ、教室へと向かう。
教室には仁王立ちで腕を組んでいる円堂がいた。

「俺は昼休みに呼んだんだ」

「ごめんなさい」

「何で来なかったんだよ」

「ごめんなさい」

「来れない理由でもあったのか?」

とにかく謝るしかないと思った。
クラスメイトは好奇の目で私と円堂を見ている。円堂は私が中々理由を話さないのを聞きかねて困ったような顔をした。てっきり腹黒円堂が降臨するかと思っていたのでこれには正直、驚いた。

「言いたくないなら言わなくていい。ああ、そうだ。風丸から聞いたと思うけど、助っ人よろしくな!」

「分かってる。ごめんな…円堂」

円堂はニカッと笑うと自分の掃除場所へと走って行った。クラスメイトも興味をなくしたのか各々の掃除場所へ移動を始める。私はとりあえず、さっきから熱い視線を向けてくる女の子数人に笑顔を向けて掃除に取り掛かった。



「名前ー。一緒に部活行こー」

午後の授業が終了し、荷物をまとめていると吹雪が教室の入り口から顔を出す。
風丸は素早く荷物をまとめてたった今、グラウンドへ向かったところだった。

「ああ。行くか」

鞄を手に持ち、吹雪と廊下を歩く。因みに私は助っ人なので部の正式なユニフォームは持っていない。いつも借りている。それが楽であえてサッカー部には入っていないのだけれど。響監督は対して気にしていないようだから暫くはこの位置で甘えさせてもらおうと思っている。
それに、サッカー部のギャラリーは可愛い子多いし。

「きっと今日も名前は人気者なんだろうね」

「そうか?吹雪だって充分、女子からキャーキャー言われてるだろ」

「だって僕、モテるし」

「うわー引くわー。でも本当だから何とも言えないな」

下駄箱まで来ると女の子が数人集まっていた。そして私と吹雪の姿を確認すると何やらきゃあきゃあ言い出した。可愛いな、と素直に思って女の子達の前を通り過ぎようとしたとき、

「あっ、あの…苗字くん、頑張ってね!私、応援しに行くから!」

「私も!苗字くんのカッコいい姿、見に行くからね」

「うん、ありがとう。嬉しいよ。見に来てくれたらサービスしちゃうかもな」

にこり、と微笑む。女の子達は互いに顔を見合わせてまた、きゃあきゃあ言い出す。隣にいる吹雪からは苦笑が聞こえてきた。
やっぱり女の子は可愛い。



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