「吹雪、昨日はどうだった?」

「年下2人と年上3人。名前は?」

「…勝った!年下6人と年上1人!」

あーあ、負けちゃったか、と笑う吹雪。その笑顔がナンパに有効活用されていると思うと何だか怖くなる。
只今、昼休み。私は隣のクラスの吹雪と屋上へ出ていた。グラウンドを見下ろすと生徒達が思い思いに遊んでいる。

「あ、あの子可愛い」

私は花壇に腰掛け、楽しくおしゃべりをしている女子生徒を軽く指差した。すると吹雪は苦笑を漏らす。

「名前、すっかり有名になったよね」

「そう?それを言うなら吹雪もだけどね」

「あはは、ありがとう」

にこりと、女の子より綺麗な微笑を浮かべる。その微笑で一体、何人の女の子が騙されたのか。一度、数えてみたい気もする。

「楽しそうで何よりだよ、…吹雪くん?」

「そちらこそ。雷門一のモテ男くん」

「いやだなぁ、私なんかより風丸とか豪炎寺とか吹雪とか女子に大人気だよ」

「あと、キャプテンだね」

「全く…皆、面食いなんだから」

「それを言ったら終わりなんじゃないかな。…あ、放課後暇?」

制服のポケットから携帯を取り出しながら問う吹雪。私は「うん」と短く返事をして吹雪が携帯で何を始めるのか待っていることにした。
しかし、しばらく待っても何のアクションも起こらない。私はつまらなくなって自分の携帯を取り出す。画面を見ると新着メールが5件。全て女の子から。他愛のない内容だ。私はそれに軽く相槌を打つような内容の返信をして携帯をポケットにしまう。すると、さっきから黙って携帯を弄っていた吹雪がやっとアクションを起こした。

「今度の土曜、一緒に合コン行く?」

返事はイエスしかなかった。



(101230)