パーカーにジーンズ…か。
私としてはもう少し洒落た服装が見たかった…って、何を言っているんだ。

「あいつ、全然女っぽくねぇよな。有名だぜ?色気がない女ベスト3に入ってる」

何もそこまで言う必要はないんじゃないか。そう思うのはお前がチャラいだけだと言おうと思ったが、後が面倒くさい。私はテーブルの端に立ててあるメニューで晴矢の頭を叩いた。

「あ、みょうじさん行っちゃったよ。次に通ったら声掛ける?」

「そうだな」

ちょっと待て。この二人はみょうじと違うクラスだ。何故、声を掛けようなんて考えるんだ。しかも、晴矢は女が苦手だ。話すのも嫌だと言う。
まさか、二人の想い人は…

「風介、なんか変なこと考えてないかい?」

「すっげー変な顔してるぜ」

何の話だと問えば、二人はニヤニヤ笑みを浮かべながら私を見てくる。全く、意味が分からない。軽い溜め息を一つして、私はメニューに目を通す。
ピンポーン、とヒロトが呼び鈴を押した。笑顔を貼り付けた店員がすぐにやってきた。

「特大パフェ一つ」

ヒロトが笑顔を貼り付けて言った。店員は畏まりましたと言い、厨房へと入っていった。
男三人で特大パフェを食べようと言うのか。ふざけるな、どこの女子高生なんだお前は。

「はは、たまにはこういうのも良いよね。ねぇ、晴矢?」

「はぁ!?意味分かんねぇよ馬鹿」

「…察しなよ。本当に晴矢は空気読めないね」

ぎろり、とヒロトは晴矢を睨んだ。晴矢は少し考えると、嗚呼、と言って私を見た。そして笑いながら口を開く。

「次にみょうじがここの前を通ったら、連れてこい」

この二人は私に何をさせたいんだ。



(100509)