学校が終わり、下校する。
特に寄り道もせず、まっすぐ家に帰った。
制服を脱ぎ、乱暴にベッドへと放り投げる。パーカーとジーンズというラフな格好に着替えてDVDのケースを二枚、袋に入れる。今日は借りていたDVDを返す日だ。
たまには散歩もしようかと思い、掴んだ自転車の鍵を離す。家からレンタルDVD屋は少し遠い。しかし、歩いて行けないような距離ではない。散歩をすれば、何か新しい発見があるかもしれない。靴を履きながらそう思った。



そう言えば、この辺りにファミレスがあった筈だ。目を凝らすとぼんやりとだが看板が見える。今度、学校帰りに友人と行ってみようか。よし、決まりだ。
ファミレスの前を通るとき何となく、大きな窓ガラスから店内を覗いた。

「あ」

思わず声を上げて見た先には私の通っている学校の制服を着た涼野、南雲、基山の3人。彼らは私を見ていた。…どうしよう、目が合った。見られた。こんな格好なのに。南雲が涼野に何か言った。涼野は答えの代わりとでも言うように、南雲の頭をテーブルに置いてあるメニューで叩く。そこまで見て私は早足でファミレスの前を通り過ぎた。うん、私は何も見ていない。何も。
こんなことになるなら自動車で来れば良かった。



(100425)