面白い。
これはみょうじに対する率直な感想。見ているとすごく面白い。
問題を考えてる時は難しそうな顔をして考えている。解いた答えが正解してるときは嬉しそうな顔をする。たまにニヤけながらノートの端に何かを書きなぐる。多分、落書きかなんかだろう。
寝た振りをして見るのも、なかなか楽しい。居眠りしているより新鮮だ。何より、飽きない。
が、しかし、いつも授業中に寝ている私には寝る癖がついている。小さく欠伸をしてみょうじから目を話し、目を瞑る。
そして意識を手放した。

ぱちりと目が覚めてなんとなく隣を見ると、シャープペンを持ったままみょうじは寝ていた。それがまた面白くてじっと見ていた。私が見ている間、みょうじが目を開けることはなかった。



「風介、風介」

「2回も呼ぶなやかましい」

廊下で大きな声で私を呼んでいる晴矢を睨む。手招きするので、仕方なく席を立つ。面倒くさい、まだ寝たい。それしか頭になかった。

「何か用か?」

「別に用はねぇけど。暇だから呼んだ」

そう言った瞬間、私は手を振り上げた。ばしんと鈍い音を立てて晴矢の頭を叩く。暇だから呼んだだと?ふざけているのかこいつは。

「いってぇな」

「…ヒロトは?」

「女子に呼ばれてどっか行った」

頭をさすりながら晴矢は答えた。
階段を上がり、一番上にある屋上の入り口である錆び付いたドアに手をかける。
ドアを開けたと同時に晴矢が声を上げた。

「そう言えば、今日は部活オフだよな?ファミレス行かね?」

「ヒロトに奢らせるなら行く」

「決まりだな!」

校庭を見ると、ヒロトと女子生徒がいた。きっとあの女子生徒はヒロトの顔だけしか見ていない。奴の本性はただの…今、言うべきではないな。
私はヒロトを見下ろしながら今日ファミレスで奢らせるものを考えた。



(100422)