何をしているんだ私は!
遂に狂ってしまったのか。
クラスメートの女子を家に連れ込むなんて…。馬鹿にも程がある。下着も見てしまったわけだし責任を取らなくてはいけないのだろうか。でも本人はあまり気にしてないようだったな…。全く、本当に私は何をしているんだ!
一応、自分の部屋着…とは言ってもジャージだが。それをバスタオルと共に脱衣所に置いた。これで一先ず大丈夫だろう。
さて。部活も途中でサボってしまったし、やることがないから冷蔵庫にあるもので夕食でも作るとするか。何が入っていたか…



トマトの缶詰めと挽き肉と玉ねぎがあったのでミートソースパスタを作ることにした。目に刺激を受けながら玉ねぎをみじん切りにし、フライパンで炒める。そして次に挽き肉を塩コショウで炒め、最後にトマトの缶詰めを入れる。後は自分好みに味付けし、火を止めて蓋をする。パスタは二人が帰ってきてから茹でても十分に間に合う。今日のミートソースは自信作かもしれない。
それにしてもみょうじの風呂は長いな。


またやることがなくなってしまったので、ソファーに座りテレビを付ける。何か面白い番組はないかと新聞のテレビ欄を読み始めたとき、

「ただいまー」

「風介ぇぇ!部活サボってんじゃねぇぞ!お前の荷物、俺らが持って帰ってきたんだかんな!」

ヒロトの疲れた声と晴矢の怒声が玄関から聞こえた。間もなくしてリビングにヒロトが入ってきた。そして私を見た瞬間、目を点にする。

「あれ?お風呂じゃないの?」

「なんでだ」

「だって晴矢が風呂から音がする、って洗面所に入っていったからてっきり…」

そう聞いた途端、一気に身体中の血の気が引いた。そして聞こえてくる男女の叫び声。私は新聞を手にしたまま洗面所へと走った。

「ふーん。連れ込んだのか」

後ろの方でヒロトが何か言ったように思えたが、それを聞き取る余裕はなかった。



「風介っ、おおおおおん、おんっ、おんながいる!し、しししかも、みょうじが!」

廊下で突っ立ってる晴矢が私に気付くと顔を真っ赤にしてどもりながら喋った。

「簡潔に答えろ、見たか?返答次第ではその頭凍らす」

誰にも見せたくないと思って家に連れてきたのに、よりによってコイツに見られてしまうとは…。
予想外だ。



(110504)