「どういうつもりだ」

「どうもこうもねぇよ」

ため息を吐きながら頭を掻く晴矢。本当はヒロトを連れてこようと思ったのだが、女が苦手の晴矢とみょうじを二人きりにさせるのは個人的に嫌だったので晴矢を睨み付け、表へ出た…が、ちらりと店の方を見るとヒロトがニコニコしながらみょうじと話している。やはり、ヒロトを連れてくるべきだったか。


「私がみょうじに興味があるといつ言った?」

「それだよ」

人差し指で私を指差す。
なんなのか全く分からない。それとは一体、どれなんだ。またちらりと店の方を見る。テーブルには先ほどヒロトが注文した特大パフェらしきものが置いてあった。
視線を晴矢に戻す。

「風介、お前は部員全員の名前言えるか?苗字だけでもいい」

「…言えない。覚えてない」

特に覚える必要はないと思っている。主将はヒロトで副は晴矢だ。私はただプレーしているだけで良い。後輩たちにアドバイスをするのは主に私以外の三年、又は二年。私は誰かに何かを教えたりアドバイス等をするのが苦手だ。だから部活動中に話すのはヒロトと晴矢、あとは同学年の数人だけ。

「部員の名前が言えないくせになんでみょうじの名前は知ってるんだよ」

「知っているは苗字だけだ」

「…自分でも分かってねぇのか。難しいな。…俺とヒロトはお前のことを、」

「とりあえず、みょうじに迷惑をかけるのはやめろ。人として恥ずかしいぞ」

何故か苛々する。部員の名前とみょうじが何の関係があると言うんだ。
私は軽く舌打ちをしてファミレスの自動ドアに向かった。



(100613)