「…ん、んぁあ」

一つ、欠伸をして身体を伸ばす。しかし、なかなか眠気は取れない。どうしたものかと思い、俺は隣で寝ている小さな身体を揺さぶった。

「起きて。朝だよ」

耳元で優しく囁く。すると彼女は小さく唸ってゆっくりと瞼を開いた。俺の姿を確認すると思い切り目を見開く。そんな姿が表現出来ないくらい可愛くて愛しくて、思わず額に口付けてしまった。
眠気はまだ取れない。

「おはよう、昨日は頑張りすぎちゃったね。気分はどう?」

「…聞かなくても分かるでしょ」

「はは、可愛いな。…続きする?」

頭がボーッ、として何を言っているか分からない。口だけが勝手に回っているみたいだ。
顔をしかめて布団を頭まで被り、俺とは反対方向に身体をひねった。どうやら機嫌を損ねたようだ。眠気で回転が鈍い頭を持ち上げてそっぽを向いた彼女の顔を覗き込んだ。

「…目が完全に開いてないよ。顔でも洗ったら?」

「んん、大丈夫。君のことはちゃんと見えてる」

そう言って笑って、顔のすぐ横に肘をついた。逃げられないように反対側にも肘をつく。まるで襲う数秒前だ。俺はそのまま距離を縮めた。

「ねぇ。続き、しようよ」

彼女が何かを話そうと口を開く。俺は言葉を聞かないように即座に口で塞いだ。口を開いていたから丁度良い。唇を食べるように甘噛みする。気のせいか甘い味がした。
次に彼女の中に舌を入れる。逃げようとするそれを捕まえて息が出来ないくらいに口の中の空気を貪る。

「んんっ、はぁ」

俺の口から吐息が漏れた。
まだ、眠いなあ。




(110429)