「ママー、ママー」 「ん?なに?」 キッチンで昼食の用意をしていると腰に我が子が抱きついてきた。私は手に持っていた包丁をまな板の上に置き、手を軽く洗って小さな頭に手を乗せる。 「パパがね、ずっとサッカーしか見てないんだよ」 あの人そっくりの茶色の髪。ゆっくりと撫でると気持ち良さそうに目を細める。それを見た私の頬の筋肉が緩んだ。 「そうなんだ。ママからも言ってあげよっか?」 「うん!」 「…勇気」 「あれ、どうしたの?」 「どうしたのじゃなくて、テレビ占領し過ぎだよ?」 「そうだよ!パパばっかりずるい!僕も見たいテレビあるのにー」 ぷくーと頬を膨らませる我が子をみて勇気は笑った。そして膨れっ面の我が子においで、と手招きをする。 「サッカーは楽しいんだよ?ママも隣においで」 そう言って、ソファーを軽く叩く。 私は渋々ソファーに座った。勇気の膝の上にいる我が子が私の膝の上に移動する。 「あ、ずるいよ。俺もまだしてもらったことないのに」 「これからする予定もないからね」 「えー」 (100724) 途中で挫折した |