あーダルい。こんな弱い奴らとサッカーなんて欠伸がでるよ。体育なんて俺には必要ないね。ただ、ダルいだけじゃないか。

「おいヒロト。ちゃんと授業受けろよ」

「嫌だよ寒い。校庭で体育なんて嫌だね」

「わがまま言うな!センコーだって困ってんだからよ!」

「うるさいなぁ、俺はあんな奴らとはサッカーしたくない」

「弱いから、とか言うなよ?」

じろり、と睨んでくる晴矢。別に良いじゃないか。なんなら晴矢も一緒にここで授業見とく?結構楽しいよ、皆ヘタクソだから。なんてこと言うと、晴矢は俺にでこぴんをした。…何これ地味に痛い。額を押さえていると晴矢が上を見上げる。一瞬、眉間に皺を寄せると俺に目を向けた。

「サボりたいならサボってろ。体育の成績下がっても知らねぇかんな」

「はいはい」

適当な返事をして受け流す。晴矢には悪いけど、本当に弱いんだ。あいつら。晴矢だって分かってるだろ?いくらクラスメートでも弱いんじゃ、駄目だな。クラス編成してもらおうか。ぐるぐると頭の中で思考を巡らせていると晴矢がアトミックフレアを打った。周りからは「おぉ!」だの「流石、南雲!」だの、声が響く。アトミックより俺の流星ブレードの方が強いし凄い。…何か今、晴矢に嫉妬してるな。しょうもないことだけど。
あー寒い。この寒空でよく皆走り回れるよね。しかも体育で。ああ、俺ってどれだけ体育嫌いなんだろう。サッカーは好きなのに。寒い、風が吹いてきた。風なんか吹かなくていい。吹くな。さむさむさむ。目に風が当たって冷たい。耳が千切れそうだ。そう言えばさっき晴矢はなんで上を見て眉を寄せたんだろう。上には屋上がある。風介がサボりでもしてたのかな。

「…あれ?」

上を見上げると、青い冬空。屋上には人影がある。しかしその影は俺が予想していた風介の影ではなかった。影はスカートを履いていた。よく見ると、風介と同じクラスのあの子だ。下からみたアングルも可愛いなぁ。……、ちょ、ちょちょちょ!風が風が!!スカート捲れそうううううう!ああああああああああと少し、…み、みえ、みえたたたたた!!まさかの白ぉぉぉぉお!しかも、

「みず…た、ま」


「…ヒロト?ヒロトォォ!お前なんで鼻から血を出してるんだよ!」

地面に倒れる衝撃を受けた。あれ、なんで倒れてんの?ああ、そうか。鼻血を出したからか。晴矢が駆け寄ってくる。頼む、来ないでくれ。あの子の可愛らしいぱんつを見た後に君の顔なんて見たくないよ。貧血でくらくらする頭を持ち上げ、屋上を見るとあの子が身を乗り出すようにして俺を見ていた。手についた血が冷たい風を受けて乾いてきた。事の元凶はこの風だ。俺の体育に対する意欲を奪い、あの子のスカートを捲った。

グッジョブ 風…!

次に目を開いたとき、俺は保健室にいた。どうしよう、あの子のぱんつが頭から離れない。



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title by Chien11