「風介、何読んでるの?」

「別に」

「…今の会話になってないよね?」

「なんだ構って欲しいのか?」

「そうとは言ってない」

「傷付くからそれ。やめてくれないか」

「はいはい、さーせん。で、何の本読んでるの?」

「…お前は知らなくていい」

「何それ。教えてよ!うおりぁああ!本奪ったりぃぃい!」

「たまに君が女なのか疑いたくなるよ」

「正真正銘、私は女です。さて、ポーカーフェイスな風介君は何を読んでいた…のか」

「だから知らなくていいって言っただろ?」

「…官能小説じゃんこれ。うふんあはん的な本じゃん」

「二回も言わなくても分かりきっている事だ。返せ。まだ途中までしか読んでない」

「いやいやいや、これ買ったの?」

「ヒロトから貸してもらった」

「うわぁ、ヒロト君に対するイメージが崩れ落ちた…」

「人が何を読もうが勝手だろう」

「そうだよね、思春期だからね。発情期だからね」

「今ここでお前に発情してやろうか」

「それはお断りします」

「いや、拒否権などない。残念だったな」

「こっち来んなぁぁあ!」



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