「なんだよ」

「客人に向かってなんだよはないでしょ」

「何しに来た」

「ちょっとからかいに…」

「今すぐ帰れ」

「泣き虫に言われてもね」

「……」

「あ、ごめん。もう言わないから」

「お茶飲んだら帰れよ」

「そんな神童くんにお知らせ」

「…なんだよ」

「遂に私に後輩できた。二人も」

「よかったな」

「すっごくかわいいの!」

「はいはい」

「一年生でさ」

「はいはい」

「サッカー部なんだって!神童の後輩だね」

「はいは…はっ!?」

「松風天馬くんと西園信助くん」

「本当か?」

「可愛いんだよ。先輩!って呼んでくれるんだ」

「どうやって知り合ったんだ?」

「この前、学校で霧野と逆ナンごっこしてたら偶然」

「なにしてんだ」

「家に篭ってピアノ弾いてる神童よりかマシだよ」

「今すぐ帰れ」

「分かった言い方を変え「ああああ。もう良いから黙れ」

「本当に可愛いんだよ。天馬くんと信助くん」

「はいはい」

「妬くくらいしてよ」

「なんで」

「神童より可愛いとか犯罪だと思う」

「別に可愛いとか言われたくない」

「なんて言われたいの?」

「……」

「この根暗!」

「今のは撤回しろアホ女」

「この泣き虫野郎。あ、天馬くんと浮気してもいい?」

「駄目に決まってるだろ」

「いやだって天馬くん可愛いし」

「…何が言いたいんだよ!俺が松風より可愛くなくて悪かったな!」

「そういうとこが可愛いんだよお前は!」

「うわぁ!だ、だだだ抱きつくな!」

「いやぁ、本当に可愛い」

「どうでもいいから腰にある手を退かせ」



(110619)