「不動くん、不動くん」

「…んだよ」

「不動くんに好きな人はいますか?」

「は?いねーし」

「照れずに答えてください。好きな人はいますか?」

「いや照れてねーし。しつこいな」

「じゃあ、好きなタイプは?」

「…べらべらしゃべらない奴」

「なんで私を見ながら言うの?私は論外とでも言いたいのか」

「そういうことになるな」

「このハゲ!」

「あぁ!?もういっぺん言ってみろアバズレ」

「きどーくーん、不動くんが汚い言葉を使ってるー」

「おいおい、何がしたいんだよお前は」

「不動くんの好きな人が知りたいの。秋ちゃん?春奈ちゃん?冬花ちゃん?もしかして瞳子さん?」

「最後の奴おかしくね?瞳子って監督だろ」

「すごく美人なんだよ」

「知るか」

「じゃあ、誰?忍ちゃんとか?」

「ちげーよ。誰でもねぇ」

「…なんかめんどくさくなってきた。不動くんの彼女はサッカーボールで決まり」

「ばっかじゃねーの?…鈍感」

「鈍感?鈍感じゃないよ」

「どうだか。別にいいぜ?俺の彼女がボールでも」

「へぇー。本当は彼女欲しいくせに」

「それはお前もなんじゃねーの?」

「私?いやいや。高校は女子校志望だし、彼氏なんてまだいらないから」

「…」

「急に黙ってどうしたの?」

俺のことは眼中にないのか。
ちっ、勝手に女子校でも行ってろボケ。この鈍感女。

「なんちゃって。高校は不動くんと同じ学校がいいな」

「…ああ、そうかよ。運動神経が無いに等しいお前が俺の志望校に行くなんざ5年早いんだよ」

「今日はよくしゃべるね不動くん」



(100720)