あんなに澄みきった青だった空が今では薄暗い灰色に変わってしまった。いつも通っている道の色が徐々に濃くなっていくのと同時に服も小さく染みをつくり出し、大きくなっていく。マネージャーの桃井が不在のため、変わりに部活の買い出しを赤司に頼まれ店を探し歩いていたのだが、あいにくこの雨なんだ、仕方ない。そう思い視界の先にある近くのお店の屋根下に潜り込んだ

「天気予報ってのは嘘ばっかっスね」

無意識に出た言葉と混じり溜め息を吐く。夏にもかかわらず今日は天気が悪いためか、ひゅうひゅうと風が鼓膜を震わせ、少しばかりか黄瀬は身を震わせた
やはり天気予報なんてあてにしてはいけないのだろうか。おもいっきり太陽マークを画面に映しだしておいて信じないほうがおかしいだろうに。今日のおは朝は最下位だったのだろうか。今日はついていない1日になりそうなどと思っていると、何やらこちらに走ってくる人影が見えた

「黄瀬くん!」

聞き慣れたいつもの居心地のいい声が聞こえる。まだ雨は降り続いているものの、パシャパシャと水溜まりがいつもの使い慣れたローファーを濡らしている音、鼓動が早く息が上がって音。まるで時が止まったかのように黒子の音しか聞こえない

「く、黒子っち?」

「黄瀬くん傘持ってないですもん…焦りましたよ全く…」

「す、すんませんっス!」

どうやら午後からは雨が降る予定だったらしく慌てて駆けつけてくれたのだとか。やっぱり黒子っちは優しい。つれないことを言っているにもかかわらず暖かさを感じるのはやはり黒子が優しいということ

帰りますよと差し出された彼の左手にそっと右手を重ね絡めると、一つの透明な傘が雨を遮ったのがわかった。一人だと屋根の下から一歩も動けなかったというのに彼が手を差し出してくれただけで前に進める。いつもそうだ。彼は自分を影だというけど、オレにいつもきらきらな世界を見せてくれる黒子っちは光だ

「服、濡れてしまいましたね…大丈夫ですか?寒…っ!?」

「ううん、黒子っちがいるからあったかい」

相合い傘なんかより距離が0センチの方がいいなんて考えながら彼を抱き、横目で彼の顔を覗きこむと、彼の顔がみるみる赤くなっていく。彼は赤ライトのせいだとごまかしていたけれど、信号機の色が変わって横断歩道を渡りきったあとも黒子っちの顔は赤いままで。あとから聞いた話だが、それを隣で見ていたオレは無意識に今世界で一番幸せなんだなんて呟いていたそうな





瓶詰めイチゴジャム
(もう、幸せ!)














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