急ぎ職員室に用事があるのでこれにて失礼させていただきますごめんなさい


例えば、「竹谷はチャラい」というレッテルを張られているとする。いや、とする、とかいってももう張られてるんだけどよ。


女遊びもしてるし、売られれば喧嘩もする。

ピアス開いてるし、アクセサリーもつけてる。



パッと見、俗に言う、不良ってヤツなんだろうか。



自分で言うのもあれだけど、…俺、チャラいよな。



何処でこんな風になっちまったのかあんまり記憶にない。



だが今俺はとんでもないことに直面している。







俺が、この俺がマジの恋をしてしまったのだ。







まさかの、この、俺が。


いやいやいや女なら腐るほどいるじゃねぇかなんでわざわざ恋なんてしてんだ俺は。




「あ!苗字さーん、職員室?」

「あ、うん」

「ごめん!ついでにこれも山田先生に提出してきてくれない?」

「あー、私もお願いしていい?」

「あ、うん、いいよ、まかせて」



おーおー、またあいつらにいいように利用されちまって。


なんでよりによって苗字なんだ。なんで俺は最近ずっと苗字のとを目で追ってんだ。

なんで苗字を、好きになったんだ。



いつも机で大人しく本を読んでて、んでもって成績は上の上。

俗に言うガリ勉ってやつだ。よくもまぁあんなよくわかんねぇ化学式をスラスラ解けるもんだ。


俺なんか化学の教科書開いただけで眠気が襲ってくるっていうのに。


でも別にいじめられっ子ってわけじゃない。あいつらもあれでイジメてるつもりはない。ただ、いいように使われてるだけ。



可愛い。あの小さい身長。ショートの髪型。俺おっぱい好きだけど、苗字は正直BかあってCだ。

だが胸はなくてもあの小ささと茶ぶち眼鏡で全部カバーできてる。





ドストライクだ。






小動物みたいだ。膝に乗せて撫でくりまわしたい。

猫、いや、兎だな。


そういえば苗字は俺と眼が会うとビクッと肩を跳ねさせる。



俺は言い切れる。

「絶対苗字に嫌われている」と。



そりゃ苗字とは真逆の人間だけど…。

そこまであからさまに嫌うことねぇじゃねぇか…。



「どうしたハチ。お前が休み時間に机に座ってるなんて珍しいな」

「うるせぇよ三郎。俺だって休み時間に勉強ぐらいするっての」

「冗談はその髪質だけにしろよ」

「表出ろ」



冗談だが三郎と喧嘩が始まるような空気をかもしだすと
苗字が肩を揺らして教室を飛び出した。


「あ、」

「あ?」

「テメェのせいだぞ三郎!!」

「なんだよ離せ気持ち悪ィな!!」



「〜〜〜っ!だぁもう!!」



何処行くんだよ!と叫ぶ三郎を放っておき、俺は我慢できずに苗字の後を追った。

階段まで走ると苗字が丁度階段の折り返し地点にいた。


「おい!苗字!」

「ひっぃっ!?」


やっぱり、怖がられている。


「たたたた、竹谷、さん…!?」

「待て、動くな」

「や、…あの…」



階段を一歩下りると、苗字も後ろ向きで階段を一歩下りる。

ノートを抱える腕が震え、涙目で俺を見上げる。


なんでだよ。なんで泣きそうなんだよ。



「なぁ、なんで俺のことビビってんの?」

「あ、っ、え」

「なんで苗字って俺のこと避けんの?」

「…そ、その、…わた、私、……」


もう逃げ場をなくし、苗字は壁に背をつける。

逃がさないように、壁に手を付き遮る。


うわ、近いとこんなに身長差あるのか。





「…なんで俺のこと嫌ってんの?」

「き、嫌いだなんて、め、めめ、滅相も無い、です…」

「じゃぁ…なんで?なんで俺を怖がるの?」






ヤバイ、このまま犯したい。




「…なぁ、……好きなんだよ」

「…は!?」

「苗字のこと、好きなんだよ……。頼むから、そんな顔しないでくれねぇかな……。」




戸惑う顔にそそられる。

本当にヤバイ。まじで犯したい。



もうこの勢いでキスしちまってもいいんじゃないかと思い、そのまま顔を近づける。





が、その時、



「いいいいいいいいいやああああああああああああああああああああああああ!!!」

「イッテェエエエエ!?!?」




顔面にバシンッ!と勢い良くノートが叩きつけられた。




「うわああああ!!ごめんなさいごめんなさい!!!!でも、ごめんなさい!!!!私、ふぁ、ファーストキスは大好きなキャラ様に捧げる予定の人生設計になってるんでごめんなさい!!!!!かかかかか勘弁してください!!!!!それが誠の気持ちだとしたらお気持ちは嬉しいのですがごめんなさい!!!!!急ぎ職員室に用事があるのでこれにて失礼させていただきますごめんなさい!!!!!!!!!」



腕を突き飛ばし猛ダッシュで階段を下りる苗字。


ノートの間からひらりと落ちた紙に、謎のキャラクターのイラストと、

その横に「うおおおお大好きなキャラ様ぶち犯したい」というコメントが書かれていた。








なにこれ。大好きなキャラ様ってこれのこと?


俺、二次元に負けたの?















俺とお前は別の次元を愛してるんだ分かり合えるわけないだろ















「苗字、」

「うわあああああ!!」

「これ落としたぞ」

「ぎゃあああああ!!」

「なぁ苗字って」

「ごめんなさいい!!」

「聞けよ!!!!!」

「あああああああ!!」
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